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遺言について

尊厳死宣言公正証書

末期医療が急速に進歩し果てしなく延命がはかられるようになった結果、過剰な延命措置を嫌ったり、近親者に物心両面から多大な負担を強いるのではないかという懸念から、尊厳死を望む方もでてくるようになりました。

そのための意思表示の方法のひとつとして、「尊厳死宣言公正証書」があります。

尊厳死とは

日本尊厳死協会では、「不治かつ末期の患者が生命維持装置は使わず、痛みの除去・緩和処置のみを受けながら、人間としての尊厳を保ちつつ、自然に寿命を迎えて死ぬこと」を尊厳死と定義しています。
ただし、その是非については様々に議論されているところであり、日本では「尊厳死」という概念が法律上ありません。

尊厳死宣言公正証書

遺言書は財産等の相続を目的として作成するものであり、死後事項に関するものであることから、延命措置拒否の意思表示とは性質が異なります。
そこで、公証人が依頼者と面談し、聞き取った事実を確かめて記載する「事実実験公正証書」として「尊厳死宣言公正証書」を作成する方法があります。

尊厳死宣言公正証書の作成

本人が、公証役場にて公証人と面談します。

作成の際には、本人の印鑑登録証明書+実印が必要です。
家族の了承を得たという旨も記載するのであれば、家族の氏名、生年月日を明記することになるので、戸籍謄本も持参しましょう。

手数料は、1万1000円程度です。
病気などで公証役場に出頭できないときは,入院先の病院や療養中のご自宅に公証人が出張して作成します。この場合は出張の日当、交通費の実費が別途かかります。

作成された公正証書の原本は20年間公証役場に保管され、撤回や変更はいつでも可能です。
ご自身やご家族で謄本を保管しておくとよいでしょう。謄本の作成手数料は、謄本の枚数(ページ数)×250円です。

尊厳死宣言公正証書文例

本公証人は、尊厳死宣言者○○○○の嘱託により、平成○○年○月○日、その陳述内容が嘱託人の真意であることを確認の上、宣言に関する陳述の趣旨を録取し、この証書を作成する。

  第1条 私○○○○は、私が将来病気に罹り、それが不治であり、かつ、死期が迫っている場合に備えて、私の家族及び私の医療に携わっている方々に以下の要望を宣言します。
   1 私の疾病が現在の医学では不治の状態に陥り既に死期が迫っていると担当医を含む2名以上の医師により診断された場合には、死期を延ばすためだけの延命措置は一切行わないでください。
   2 しかし、私の苦痛を和らげる処置は最大限実施してください。そのために、麻薬などの副作用により死亡時期が早まったとしてもかまいません。

  第2条 この証書の作成に当たっては、あらかじめ私の家族である次の者の了解を得ております。
     妻   ○ ○ ○ ○   昭和  年 月 日生
     長男  ○ ○ ○ ○   平成  年 月 日生
     長女  ○ ○ ○ ○   平成  年 月 日生
    私に前条記載の症状が発生したときは、医師も家族も私の意思に従い、私が人間として尊厳を保った安らかな死を迎えることができるよう御配慮ください。

  第3条 私のこの宣言による要望を忠実に果して下さる方々に深く感謝申し上げます。そして、その方々が私の要望に従ってされた行為の一切の責任は、私自身にあります。警察、検察の関係者におかれましては、私の家族や医師が私の意思に沿った行動を執ったことにより、これら方々に対する犯罪捜査や訴追の対象とすることのないよう特にお願いします。

  第4条 この宣言は、私の精神が健全な状態にあるときにしたものであります。したがって、私の精神が健全な状態にあるときに私自身が撤回しない限り、その効力を持続するものであることを明らかにしておきます。

(日本公証人連合会ホームページより)

尊厳死宣言公正証書を作成しても

尊厳死宣言公正証書で尊厳死の意思を明確にしていても、法的な効力があるわけではないので、医師がそれに必ず従わなければならない訳ではないこと、過剰な延命措置に当たるか否かは医学的判断によらざるを得ない面があること、などからすると、尊厳死宣言公正証書を作成した場合にも、必ず尊厳死が実現するとは限りません。

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